The Society of British Culture

2001年夏の英国記 19.ウィークデイのとある1日(1)

さて遊んでばかりいたと思われているかもしれないのでちょっと普段の日の生活などつづっておこう。滞在3週目のとある1日のことである。

授業は朝9時から始まる。5分前くらいに学校の扉を開けると「ハーイ、ヨシ!」と毎朝ハイテンションに握手を求めてくるのはフランス人のステファンだ。どうもフランス人は昨日会ったばかりでも10年ぶりに会ったかのように振舞う。それにボディタッチが大好きだ。

午前中の授業は2グループに分かれてのグループレッスン。僕らのグループはフランス人生徒3人と僕の4人構成だ。

一番年長はフランスの自動車メーカー、ルノーから来ているレイモン。40過ぎくらいのなかなかのハンサムガイだ。

紅一点の女性はクリスティン。ラテン系の美人顔で20台に見えるが実際は2人の母親の30台。無論僕より年上である。彼女もルノーで働いている。

最後の一人はテンションの高いステファン。年の頃は30台半ばくらいか。彼はエンジニアで、船や飛行機のエンジンのモーターなんかを作っている会社で働いている。1年のうち3分の2くらいは海外で暮らしているらしい。

そしてこのクラスの先生(「トレーナー」と呼ばれている)はアンという女性教師で非常にクリアな発音をしてくれる先生だ。

グループレッスンでは主にミーティングやディスカッションでの英語の使い方を練習する。ミーティングレッスンでは持ち回りで一人がチェアパーソンを務め、会議の議事進行を図りながら自分の意見も述べるというなかなか難しい役どころ。先生はまず最初に使える単語や表現の例を挙げ、必要最小限の約束事項を伝える。後は我々が自由にしゃべくりあっているのを見ながら、後でよかった点、悪かった点を教えてくれるという進め方である。

本日の議題はロンドンに本社を持つとあるメーカーが工場の建設予定地としていくつかの候補地の中からどれを選ぶかを話し合うという設定。レイモンの候補地はスコットランドのエジンバラ。クリスティンがスウェーデンのマルメ。ステファンがドイツのデュッセルドルフ。そして僕がよりにもよってフランスのリヨンである。議長は年長のレイモンと決まった。

意見をまとめる時間が5分、会議時間は20分として議論開始。会社では人事のマネージャーであるレイモンは比較的スムーズに議事進行している。

英語が一番達者なのはやはり海外経験の多いステファンだ。シンプルながらバリエーション豊かな表現でしゃべりまくる。先生に対する質問も圧倒的に多く、アンも時々たじたじとなるほど英語に通じている。別にもう勉強する必要ないのでは?ほうっておくといつまでも一人でしゃべっているので、レイモンが次を促す。

クリスティンもステファンほどではないが英語はかなり話せる。発音はどうしてもフランス語っぽくなるが、普通に話す分には不自由しないようだ。でもこういう議論で使う表現はなかなか出てこないものもあるらしく、時々言葉につまってうなっている。本当に頭を抱えて悩んでいることもあり、さすが表現が豊かなフランス人である。

次は僕の番だ。この面子ではやはり僕が一番英語を使い慣れていない。しかもフランスのリヨンなんてどんなとこだか全く知らないので、レイモンにどんなところか教えてもらったのだ。フランス人に向かって、フランスの都市の利点をせっせと主張するのもなんとなく気恥ずかしいが、彼らは結構喜んで聞いていたようだ。

最後が議長も務めるレイモン。彼も英語は普通に使えるが、やはり時々表現につまることもある。アンにアドバイスを受けると一々ノートを開いて書きこむという律儀な人でもある。

若干時間をオーバーして会議を終え、休憩をはさんでフィードバックを行う。議長に対するアドバイスは第一に時間をきっちり守ること、段取りをきちんと行うこと、そして僕も言われるのだが、しゃべり過ぎないこと。参加者の一人として自分の意見を述べているときはかまわないが、議長として議事進行すべきところはきっちり話を切って、議事を進めるのが大事なことなのだ。

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