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2001年夏の英国記 18.イギリス人とビートルズ(2)(承前) また別のクラスでの話。他の生徒が同校の校長先生と話があるというので、僕と担当の先生が2人で教室に残っていたとき、当の先生(推定年齢30台後半)が唐突に話し出した。 「ヨシ(ヨシトモ君以下ヨシ○○君は大抵こう呼ばれるんだろうな)、君はロックが好きとか言ってたが、どんなバンドが好きなんだ?」 「そうっすね、やはりビートルズが一番ですね。後はストーンズやクイーン、最近ではオアシスやオーシャン・カラー・シーンなんかがいいすね。」 「うん、みんないいバンドだ。ところでビートルズのアルバムでは何が一番好きなんだい」 「好きなのはたくさんありますが、このところ一番好きなのはホワイト・アルバムです」 「ホワイト・アルバム?君は変わっているね。それは一般的な意見じゃないな。あのアルバムはいい曲も多いが、くだらない曲もあるよ。君はどの曲が好きなんだ?」 「そうっすね、ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガンなんかいいすね」 「うーん、あれは名曲だよ。しかし僕の一番はディア・プルーデンスだ。ちなみに最もつまらないのはレボリューションNO.9だ」 「そりゃ同感です。では先生はどのアルバムが好きなんですか?」 「リヴォルバーだよ!あれこそが最高傑作だと僕は思っているね。ビートルズのサイケデリックな面が最もよく表れているアルバムだよ」 「それは僕もそう思います。僕は他にアビイ・ロードも大好きですけどね」 「おおそうか!アビイ・ロードといえば、君にこっそりいいものを見せてあげよう」 とか言って彼は自分のカバンをごそごそ探って何枚かの写真を取り出した。 「これを見たまえ」 と自慢げに差し出されたのはなにやら機械の写真である。でも何の写真かよくわからない「なんですか、これ」と聞くと、彼はにやりと笑い2枚目の写真を出した。彼はある種典型的なイギリス人で、非常に婉曲な物言いを好みとしている。こちらから何か質問してもなかなかズバリと答えを言ってはくれない人なのである。で、2枚目の写真はというとビートルズ・ファンにはおなじみのアビイ・ロード・スタジオの扉の写真なのだ。 「これ(1枚目の写真のヘンな機械)は録音機なんだ。昔アビイ・ロード・スタジオに入って写真をとらせてもらったんだ。そしてこれは極めつけの写真だ!」と言って差し出した3枚目の写真は男4人が横断歩道を横切っている写真。言わずとしれたビートルズの傑作アルバム「アビイ・ロード」のジャケットの構図。まさにビートルズ・ファンの鑑だ。しかしあんた、毎日こんなものを持ち歩いとるんかいな。 もちろんアビイ・ロード・スタジオにはだれでも入れるわけではない。なぜ彼が入ることができて、写真をとれたのかというと、その昔バンドを組んでいたことがあり、そのつてで入ることができたのだという。バンド名はHarbart Orange。パンクのバンドであったという。なるほどリヴォルバーが好きというのもなんとなく納得である。レコードも作ったことがあり(残念ながらアビイ・ロード・スタジオ録音ではない)、150枚発売したというが、そのうち75枚はいまだに彼の家にあるらしい。ちなみに彼の名はリチャード・エドワーズ。その昔ギタリストが失踪したイギリスの某人気バンドのそのギタリストのと同姓同名である。彼は「あれは僕だ」と言っている。お分かりと思うがまったくもっておかしな先生なのである。他の生徒が戻ってきて話は終わったが、彼は最後に小声でこう付け加えた。 Music is my passion! |
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