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2001年夏の英国記 16.英国のテレビ英国のいわゆる地上波番組はそれほど局が多くない。Malmesburyでは5局しかなかった。うち2局はBBCであるから、民放は3局しかない。 番組の種類は日本とそれほど大きな違いはないだろう。ニュース、スポーツ、映画、バラエティそれにドラマなどが番組表で目に付く。なかでもドラマはなかなか重厚なものが多くて、日本でも放送した「モース主任警部」や「フロスト」など、とても質の高いミステリードラマを作っていてうれしい。さすがはシャーロック・ホームズを生んだ国だ。 バラエティはどうにも良く分からないものが多い。たとえば男女数人が1つの部屋の中で何もしないで何日も一緒に過ごす様子を放送するだけの番組「ビッグ・ブラザー」などは、ヨーロッパ中で類似番組が出回っているほどの人気だそうだ。良く分からん。 しかしその中で1つだけ「これはスゴイ!」と思って楽しく見ていた番組があった。「SURVIVER(サバイバー)」という名のその番組は、その名の通りサバイバル・ゲームである。最近、日本でも同じタイトルの番組が放送されていたので知っている人もいるかと思うが(残念ながら僕は見たことはないのだが)、こんな番組である。 男女あわせて10数名が無人島に行き、その中で文字どおり生き延びて、最後の一人だけが賞金を手にすることができるという分かり易い設定。無人島サバイバルと言っても別にみんな裸になって殺し合うというわけではない(そりゃそうだ)。ある程度の道具は使えるし、着るものも持ち込める。生活するのに他の参加者と助け合うのも自由。ではどうやって人数を減らしていくのかというとこれがすごい。何日かに一度、夜に祭壇のような場所に参加者全員が集められ、司会者から無人島の生活の中で起こった事柄についていろんな質問を受ける。それに答えた後、参加者同士で投票を行う。だれが残るか、ではない。だれを落とすか、を投票で決めるのである。1晩で脱落するメンバーはただ一人。事前に打ち合わせて1人を蹴落としてもかまわない。しかしその次には自分も蹴落とされるターゲットになるかもしれないのだけれど。つまりはどうやったら自分に投票されないか、を常に考えながら生活しなければならないのである。あまりこびてもまずい。反目しては投票の的となる。嘘も必要。でも自分を出すことも必要。無論無人島の生活そのものも楽ではない。厳しい状況の中、どこまで自分に対するよい印象保ちながらやっていけるか、まさに肉体的にも精神的にもサバイバルなゲームなのである。 しかも面白いのは、落とされたメンバーは次の集まりからは質問する側に回るのである。彼らには投票権はないが、自分に投票したと思う相手についていろんなことを暴露することができるのだ。死人には口があるってわけで、落としたからその人はもうどうでもいいというわけにもいかない。残るメンバーにも、落とされたメンバーにもよい印象を持たせ続けなければならない。そんなことが可能なのだろうか? それでもやはり番組は進み、最後には2人残る。この時点でお互いに投票しても意味ないので、最後は蹴落とされたメンバー全員によって、残るどちらが勝者となるかの投票が行われるのである。各メンバーにはそれぞれ残りの2人に対して質問する機会が与えられる。選ばれるべき2人は正直に答えようと嘘を答えようとかまわないが、とにかく自分を選んでくれるような答えを出していかなければならない。このあたり、スリル満点であった。英語が完全に分からなくても緊張感はバクバク伝わってくる。実にスリリングなシーンであった。 これが放送されていた当時、僕は日本でやっても面白いかも、でも絶対できないだろうと思っていた。でも放送が始まると聞いて驚いた。しかし新聞の批評欄など読んでいると、期待したほど視聴率もよくないと聞く。こういう露骨なゲームは日本の風土というか文化というか、とにかく合わないんだなんてことをタラタラ書いてあったが、実は決定的な違いがあるのである。 何と言っても一番の違いは賞金額だ。その額100万ポンド!、なんと日本円にして2億円近い賞金なのだ。これはまさに人生を変えてしまう金額だ。人生だけでなく人格も変えてしまいそうである。まさにこの金額が、僕が日本で放送できないと思った最大の理由なのだ。こんな賞金額を出せるテレビ番組はない。馬鹿な芸能人にすぐ百万単位の賞金をあげるくらいなら、一発でかい賞金の番組があってもいいと思うのだが、よくわからない業界の規制だか、法律上の規制だかでとにかく出してはいけないはずである。 これだけあればもう引退してどこかで人知れず暮らしていきたい人などには十分だろう。二度と関係者にも会わないですむ。これならだれもが真剣、やらせが入り込む余地はない。日本の番組の最高賞金額は1千万円だっけ?たしかに大金だが、その金のために自分のすべてを投げ打って必死になれる日本人がいるとは思えない。いやいるのだろうけど、そんな人を出演させるテレビ局は多分ない。 |
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