The Society of British Culture

2001年夏の英国記 15.英国のスポーツ

イギリスで最も人気のあるスポーツはというと、何と言ってもサッカーである。無論イギリスでは「サッカー」などという単語は使わない。「フットボール」である。フットボールに迫る人気のラグビーは正しくは「ラグビー・フットボール」と呼ぶ。これに対してサッカーは「アソシエーション・フットボール」というのが正式な名前らしい。一般的にはそれぞれ「フットボール」、「ラグビー」だけで通じる。

僕がいた6月末から7月はこの両フットボールはオフシーズンなのかあまり話題に上ることがなかった。しかし6月の最終週と7月の最初の週にはイギリス全土を巻き込む一大スポーツイベントが開催されるのだ。ウィンブルドン・テニス選手権である。

テニスの国際試合の代名詞となっているこの大会であるが、残念ながらここ数年(数十年?)イギリス人選手が活躍することはなかった。海外の企業がイギリスに工場を建てることを「ウィンブルドン現象」などと呼ばれるくらい、この大会は「場所だけイギリス」のイメージが強かった。

しかし今年は事情が違った。イギリス人選手ティム・ヘンマンの調子が良いのだ。序盤戦を順当に勝ち抜き、今回は準決勝まで勝ち残った。準決勝でも2日間にわたる大接戦を演じ、まことに惜しいところで勝ちを逃した。ちなみにそのときの勝者イワニセビッチは今年の優勝者である。

ヘンマンの活躍もあってか、今年のウィンブルドンはものすごく盛り上がっていた。もともとテニスは人気の高いスポーツであるし、イギリス勢はパッとしなくても、アメリカやオーストラリアの英語圏国家はスター選手揃いで人気もある。テレビでは朝から晩まで相当数の試合を流しているし、夜には2時間枠でその日のハイライトを放送している。新聞は4面くらいぶち抜きでウィンブルドンの記事。ラジオ中継までしている(聞いていてもちっとも面白くないのだが)。誰かにあうと必ず昨日の試合の話である。幸い僕はテニスを見るのが好きなので積極的に試合をチェックしては話題についていっていた。日本のプロ野球よりは詳しいのだ。

野球といえば、イギリスではまったく人気がない。というより存在しているのだろうか。野球をしている光景どころか、ボールもバットも見たことがない。伝統の国イギリスでは、アメリカで誕生したようなスポーツを逆輸入するのは耐えられないのかもしれない。

野球に代わってポピュラーなのはかの有名なクリケットである。名前は聞いたことあるが、ルールは知らないという人がほとんどであろう。当然僕もさっぱり分からない。しかしこれをやっている光景には良く出会う。不思議なのは皆かならず襟のついた白いユニフォームを着ていることだ。スポーツをする服装には見えない。本当にスポーツなのかも怪しい。

最後にこれもまた芝の上で行う、とてもイギリスらしいスポーツ「ポロ」の話を少ししよう。正確なルールはよく分からないが、大まかなルールはフットボールに似ているようだ。1チーム4騎だか5騎の馬と人で構成された2チームが対戦する。選手は皆馬にまたがり、先っぽがトンカチみたいになった長い棒をもってボールを打つ。それを味方にパスしたりしてつなぎ、ゴールに放り込めば点が入る。キーパーはいないようだ。ちなみに審判も馬に乗っている。

僕が見た試合は地元のクラブ「ビューフォート」対ビジターチーム「ヴァンパイア・バッツ」(吸血コウモリか?)の1戦。見ていると女の人も乗っている。ちょっと意外だ。途中一人落馬して、救急車で運ばれていってしまった。やはり危険な競技でもあるらしい。結果は7対61/2(1/2ってなんだ?)で地元ビューフォートの勝ち。天気もよくって、屋台で買ったビールを飲みながらの観戦は金持ちにでもなったような気分が味わえて爽快であった。

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