The Society of British Culture

2001年夏の英国記 4.Wales(1)

概略

ウェールズというところはちょっとばかり名前で損している感じがする。連合王国の他の3つ、イングランド、スコットランド、アイルランドは“ランド”の名が示すようになんとなく国っぽい。イングランドはイギリスの代名詞みたいなもんだし、スコットランドは別の国のような独特の文化を思い起こさせる。アイルランドにいたっては本当に別の国の一部(とかいうと怒りを買いそうだが)である。しかしウェールズという名には今一つそういう感じがしない。へたすればイングランドの一部みたいにとらえられてしまっている。旗もユニオンジャックには含まれぬ、なじみうすいレッドドラゴン。そのせいかこれまたガイドブックには載っていない場所が多い。第一「ウェールズ」と題した観光ガイドなんて見たことない。

しかしこの国(この際、国と言ってしまおう)ほどその独自の文化に誇りを持っている国はないのである。道路標識にはかならず英語とウェールズ語の二種類の表記がなされている。旅行者にとっては、これはとてもわずらわしいが、なかなかこだわりを感じさせてくれる。そして僕が思うに英国随一の自然の宝庫である。スコットランドの少し冷たい凛とした自然とはどこか違う、荒々しさをもった自然が残っている。こんな素敵な国のほんの一部に行くことができたので紹介したい。

自動車で回る南ウェールズの旅

滞在先のMalmesburyからさすがにウェールズまでは自転車では行けないので、レンタカーを借りることにした。しかし問題はMalmesburyにはレンタカー・オフィスがないのである。車を借りたいならば近くのもう少し大きめの街まで出なければいけない。公共の交通機関が今一つ発達していないこの街ではとなり街までいくには車が必要である。レンタカー借りに車でとなり街に行かねばならぬというのはどこかおかしい。

レンタカー屋との電話による話し合いの結果、金曜の夕方から月曜の朝まで借りることになった。イギリスの大抵のレンタカー・オフィスは日曜は休みなので、金曜夜から月曜朝まで週末料金というのを設けて、パッケージで貸すのが普通らしい。宿泊先のホストと交渉の結果、金曜のクラス終了後の夕方に最寄りの街、Chippenhamのオフィスまで車で送ってもらうこととなった。

あいにく金曜日は朝から雨であった。昼頃ちょっと小振りになったので「やむかなー」と期待したのだが、実際にChippenhamに着いたころには雨の勢いはピークに達していた。もはやどしゃ降りである。ただでさえ慣れぬ異国のドライブの始まりが大雨だというのはかなり運が悪い。しかし幸い英国の道路は日本と同じ左側レーンで、ハンドルも右に付いているので車の運転自体は問題はない。方向指示器とワイパーの位置が反対なので、雨がやんだ後でもときどき交差点でワイパーがせっせと動くのに困ったくらいだ。それはともかくただでさえ分かりにくい英国の標識が雨でさらに見にくくなり、何度もラウンドアバウトをくるくる回りながら(1回ではどこから出ればいいか読み取れないのだ)やっとの思いでChippenhamを脱出できた。都市部を抜ければ後は楽なものである。

Chippenhamを北上し、ウェールズへと続くハイウェイ“M4”へと向う途中で立ち寄ったCastle Cobmeに付く頃には雨は殆どやんでいた。しかしM4に入ったとたんにまた雨が復活、イングランドからウェールズへと続く、河口にかかる橋を渡るときには、海の上を走っているはずであるのに、雨のせいで海がまったく見えなかった。

ウェールズに入ってからは雨の勢いは衰え、首都Cardifに差し掛かる頃には完全にやんだ。Cardifは6年前初めて英国に来たとき滞在した街である。懐かしかったが、今回は素通り。目的地はその先のGower半島なのである。

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