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持ちよりライブラリ: 本・まんが 著者名「は〜わ」□ ハインライン/夏への扉■管理人の感想これほどまでにストーリーそのものを愉しく追うことができた本は他にないかもしれません。タイムトラベルものの傑作というだけではなく、個人的には今まで読んだすべての「物語」の中で一番愉しかった作品のような気がしています。 その上、このそこはかとない明るさ。逆境でもうまくいっている時でもマイペースな明るさをしっかりと持っている主人公にも惹かれます。 こんな感想ではなんのことかさっぱりわからないと思いますが(申し訳ないです)、まずは読んでいただければ、と思っています。 ◇ サラ・パレツキー/レイクサイドストーリー■ご紹介下さった方さちこさん ■管理人の感想五大湖の船舶業者を巡る陰謀と、女性探偵V.I.ウォーショースキーとのせめぎあいを綴った物語です。 今まで体験したことのない「女性の視点」で物語を追うことができました。これは同じ物語でも、男性の視線だと全然違った味わいになる作品ではないでしょうか。さらに、ウォーショースキー(主人公の女性探偵)のつぶやきや振る舞いが、これも今までに感じたことのない「女性にしかできないかっこよさ」を醸し出していて、作品のイメージを決定づけていました。(1998年10月16日) ◇ ウイリアム・ピータース(白石文人訳)/青い目 茶色い目 -人種差別と闘った教育の記録■ご紹介下さった方ちゅちさん ■紹介メッセージこれは、アメリカのある女性教師が試みた実験の記録です。小学校の教師である彼女、ジェーンはアイオワ州の小さな町に住んでいます。そこは全員白人でプロテスタント、という差別を直に体験することがないような環境にあります。しかし、そこの子供達ですら、知識として(大人が教えたのか、マスコミの影響か)黒人は白人よりも劣っている、ということを知っています。 そこで、ジェーンはそれがどんなに間違った考えであるかを教えるために、子供達の「黒人の人の気持が知りたい」という希望を受けて、危険でいやな実験を始めます。まず、全員白人の子供達の身体的特徴をとり、目の色で青と茶の2つのグループに分けました。そして、きちんとこの実験の意図を子供達に話して聞かせ、納得してもらってから、実験のルールを説明しました。それは、1日目は優れているのは茶色い目の子供ですが、2日めにはそれは逆転して青い目の子供の方が優れていることになる、というものでした。 そして、実験はスタートして、ジェーンは徹底的に容赦なく、先生の権力でもって青い目の子供達を非難し、卑下します。反対に茶色い目の子供は、昼休みは5分長くとれるし、食事の列にも先に並べますし、少し良いことをすれば、何倍もほめられます。あんなに仲の良かったクラスなのに、始まってほどなく、予想もしていない事態が出現する....というドキュメントです。 そして、2日めはどうなったのか、そこから先、何がおこったかは読んでみてください。読むうちに胸がずいぶん痛みますが、最後にはこの子達がうらやましくもなります。それから、これは1988年にNHKでも海外ドキュメンタリーとして放送され、たいへんな反響をよんだそうです。
読み終わると、あらゆる差別に敏感になれるような気がします。 ■管理人の感想人種差別問題については人並みに理解していると思いこんでいた自分の甘さを思い知らされました。差別される状況にいれば人間はどうなるか。たった2日間の実験で、子供達はどれほど変貌したのか。自分の今まで持っていた意識を変化させるに充分なショッキングな実験結果が続きます。極めつけは本の中程にある写真です。「被差別グループ」と「差別できるグループ」の子供達が列を作っているのですが、両者の表情の違いはあまりにもショッキングで、忘れることができないものです。(1998年10月31日)現在絶版なのが非常に残念です。(2005年9月23日) ◇ 広瀬正/マイナス・ゼロ■ご紹介下さった方◆治さん、たけぷ〜さん ■管理人の感想昭和20年、38年、7年の東京を舞台にしたタイムトラベルストーリーです。 東京近辺で生活している今、この小説に接することができてよかったと思いました。それぞれの時代の東京を描写する慈しみのある視点が非常に印象的だったのです。人、風景、風俗、どれも自分のふるさとの懐かしい景色のように感じられました。 タイムトラベルを絡めたストーリー展開ももちろん素晴らしく、特に主人公と伴侶の運命的な結びつきが明らかになる過程は見事なものでした。 タイムトラベルの面白さだけでなく、描かれた世界にも大いに魅力があったという点で、日本のタイムトラベル小説では最も印象に残った作品。(1998年7月12日) ◇ ジェームズ・P・ホーガン、池央耿訳/星を継ぐもの■ご紹介下さった方イギリス研究会のミステリファン ■管理人の感想
[物語]
[感想] 太陽系と数千万年を股にかけた壮大な「謎」は、もちろんこの作品の面白さの核になるんでしょうが、私はそれと同じくらい、いやそれ以上にこの著者の持つ科学への明るい信頼をほほえましく感じました。皮肉ではなく。予想されている科学技術は、実際に21世紀に生きる私たちから見ると滑稽なものもあるのですが、それを心から楽しんで想像する著者の姿が文章の向こうに見えるようだったのです。また、遺留品を巡って、生物学・言語学・数学などの専門家が集まって徐々に謎を解明していくプロセスにも、普通の推理小説とはちょっと違った興奮を覚えることができました。 ストーリーの「謎」は期待しすぎていた感があり諸手をあげて万歳とまではいきませんが、この思わぬ部分での魅力が輝いて見えました。結果として、細部までおいしく味わえる小説に仕上がっていたと思います。(2004年2月11日) □ 村上龍/半島を出よ■管理人の感想(この感想は、ブログに書いた文章を転載しています。) 2011年、経済が凋落し世界から見放されつつある日本。北朝鮮コマンドが福岡に上陸、あっという間にドーム周辺を占拠。日本政府が九州を閉鎖するが有効な手だてがうてないまま、12万人の後続軍が近づいてくる・・・そんな、ありふれていそうで実はあまりお目にかかれれない設定の約900ページですが、まったく退屈することなく堪能できました。 まず、村上龍氏の長編にありがちな「息切れ」が皆無であること。他の近未来長編「愛と幻想のファシズム」(これは大のお気に入りですが)、「希望の国のエクソダス」ともに後半、龍氏が書くのにちょっと飽きたのかなって印象があります。「半島を出よ」は違う。ちゃんとテンションが持続し、緊迫感のあるクライマックスがあり、物語を締めるエピローグがあります。 そして、「興味深く丁寧な情報が詰まっている」「物語としておもしろい」の2本柱をしっかりと充実させていること。個人的に本を読みおわって充実感を感じるのはこの2本柱のどちらかが優れた作品だったときですが、「半島を出よ」は両方とも非常に充実していたと感じています。情報面で言うと、たとえば北朝鮮の人間のディテール。龍さんがソウルで脱北者十数名に取材したこともあって、故郷の描写、礼儀作法、日本の品物に対する驚き(ティッシュペーパーや下着、蛇口をひねればすぐお湯や安全な水が出ることなど)、男女・親への感覚(北朝鮮では母親は絶対的に敬われるらしい)など非常にリアルです。その他にも、毒を持つ生物、爆薬、兵器、建築設備、医学などの詳細な解説に圧倒されます(ちょっとくどいと感じることもあるけど)。 物語も、そのものの面白さはもちろんですが、「北朝鮮コマンド」「ふつうの日本人」「ふつうじゃない日本人」それぞれの視点で描かれているので、ひとつの事象も複数の角度でとられられるところが飽きさせません。結果的に、どの立場の人間をも客観的にとらえながら(たとえば、北朝鮮や日本政府を一方的に断罪することはない)、その人間が自分の深い位置で感じていることを描き出すことに成功しています。 結果、龍氏のメッセージもダイレクトに響きました。 龍氏も今年53歳、デビュー30年くらいになるはずですが、「半島を出よ」は、エッジのきかせ方がベテランの持つ円熟味みたいな「悟りの境地」とはいい意味で全然違うところにある作品。読後にそう感じつつ、3月29日の朝日新聞文化欄を見ると龍氏へのインタビューが。「小説は虚構だけど、現実を超えるようなリアリティーで読者を圧倒したかった」「今回の最も大きな賭けは、北朝鮮の特殊部隊の兵士の視点を含めて、複眼的に書くことだった」「日本社会では50歳を過ぎると成熟と余裕が求められる。趣味的な世界とか洗練とかと、まったく違う作業がしたかった」龍氏の目論見は、少なくとも私には大当たりです。(2005年4月2日) ◇ 宮部みゆき/レベル7■ご紹介下さった方ミーシャさん ■管理人の感想「レベル7まで行ったら戻れない」という言葉を残して失踪した女子高生と、記憶を失った男女二人の4日間の物語。
安心しながらわくわくできる・・・と書いてみると変ですが、そんな感じで安心して一気に読めました。一見関係なさそうな二つの物語が徐々に交わっていくところやラスト間際のしかけなどが見事で面白いところなのですが、それらの物語の流れが漠然とですが予想できるのです。でもこれは、先がわかってつまらないという意味ではありません。物語の矛盾点をわかりやすく読者に示して、それをわかりやすいタイミングで解決するということであり、そのために安心して物語の先を読めるしくみだと感じました。 ◇ 宮部みゆき/火車■ご紹介下さった方ミーシャさん ■管理人の感想婚約者が失踪した。彼女は、過去の自分を抹消していた・・・そんなふうに物語は幕を開けます。 クレジットカードの多重債務者を取り扱った小説というと、ありふれたテーマだというイメージがありましたが、実際に読んでみると月並みな感触は全くなかったです。作者の多重債務者へのまなざしや、見事な心理描写を絡めたストーリーの展開がテーマを引き立てていて、ずっとひきつけられたまま読みました。ラストの潔さもかっこよかった。 ◇ 宮部みゆき/龍は眠る■ご紹介下さった方ミーシャさん ■管理人の感想雑誌記者が嵐の夜に知り合った少年は、特異な能力を持っているように見えた。その能力は、彼らを様々な事件に巻き込んでいく・・・・ 作者のもとに、「よくぞ私たちの気持ちを代弁して下さった」とかいうサイキックからの手紙が来ていたりして。そんな風に思わせる切実な描写が心に迫り、フィクションであることを忘れさせる出来でした。ある登場人物が死んでしまうのが、ちょっと安易な展開だとは思いましたが。 ◇ 鷲田小弥太/本はこう読め、こう買え、こう使え■ご紹介下さった方UKIさん ■紹介メッセージ
題名がちょっとむかつきますが、いい本です。 ■管理人の感想タイトルから想像されるような本探しのHowto本ではなく、著者が刺激を受けた本を紹介するいわば鷲田版「ぼくはこんな本を読んできた」。 この本で紹介されている本・主張にも興味はもちましたが、一番面白かったのは、著者の自分の好きな本を紹介する時のスタンス。照れを隠そうとしながらもにじみ出る、彼の読書への喜びが、無邪気で楽しかったです。あと、UKIさんがおっしゃるように、まったくひっかからず最後まで一気に読める読みやすさもいい感じです。(1998年7月7日) |
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